こんにちは、zukacotoです。
7月のスカステ無料放送日に2006年星組公演「愛するには短すぎる」を放送していたので録画して観てみました。この公演は星組トップスター湖月わたるさんの退団公演でした。
実は、私が星組公演を初めて観劇したのがこの作品だったんです。いまやことちゃん(礼真琴)大好き!な私ですが、そもそもこの公演でとうこさん(安蘭けい)の歌声に魅せられて星組に通うようになったんです。
とうこさん退団後はちえちゃん(柚希礼音)にハマり、ちえちゃん時代の中盤頃にことちゃん(礼真琴)が好きになって今に至ります。
結果から言うと、やっぱりいい作品だったなって。もともとこの作品が好きでよくDVDを観ていたんです。でも、時間が経つと徐々にその間隔が開いてしまって。だから、今回はいい機会になりました!スカステ難民の私には月に1度のありがた~い1日です。
あらすじ
まずは簡単にこの作品のあらすじをお話して行きたいと思います。
資産家の養子であるフレッド(湖月わたる)はイギリス留学を終え、ニューヨークへ帰るため友人のアンソニー(安蘭けい)と共に豪華客船に乗船する。
フレッドは帰国後に養父の会社の跡を継ぎ、結婚することも決まっていた。誰もが羨む順風満帆な人生のはずだが、フレッドはどこか満たされない思いを拭いきれないでいた…。
航海初日、フレッドは船のショーチームのバーバラ(白羽ゆり)と出会う。彼女が船のバンドマネージャーであるフランク(柚希礼音)から言い寄られているところをフレッドが助けたのだ。
お互いが同じ街の出身で、幼い頃に結婚の約束を交わしていた相手であると気付いた二人は偶然の再会に心を躍らせる。
これは、そんな二人のたった4日間の恋と、船上でうごめく人間模様をコメディタッチで描いた作品です。
あらすじはこんな感じです。退団公演ということもあり、「別れ」を意識した作品になっています。
この作品の何がいいってこのシナリオがしっかりしていることと、登場人物の心情の流れをしっかり描いていること。これに宝塚らしい楽しいナンバーが散りばめられていて!オリジナル作品のなかでもよく出来た作品だと思っています。
幕開きの安蘭けいの歌が染みる
この物語はとうこさんの歌から始まります。
例えまみえることは無くても忘れたりするものか その言葉 ほほえみ
思い切なく願い空しく 追憶が痛みのように胸を貫く
これをね、まだ客席が明るいうちから歌い始めて、だんだんと客席の明かりが落ちて「その言葉 ほほえみ」の後からとうこさんの歌をバックに開演アナウンスとなる演出。
なんだかね…この歌がじーんと心にしみるんですよ。あのいい声と、この歌詞とがすごくマッチしていて。一気に客席を船上へと誘ってくれる感じがとても好きです。
この歌はDREAMという曲なのですが、このあと何度も色んな方が各所で歌うことになります。が、やはりとうこさんのDREAMは格別ですね。
歌が上手いのはもちろんですが、物語性を感じるところ!これが私が安蘭けいの歌が好きな理由です。
湖月わたる×安蘭けいの掛け合い
この作品の魅力の1つが湖月わたる演じるフレッドと安蘭けい演じるアンソニーの掛け合いではないでしょうか。
生真面目で気を回しすぎるところのあるフレッドと、お調子者で大胆なアンソニーの凸凹感(あ、身長ではなく)がぴたりとハマっていていいんですよね。
例えば、幼なじみに会ったんだ…とつぶやくフレッドにアンソニーが声を裏返して「なんだあー?」と返事をするところだったり。
「(バーバラにとって)君との再会は単なる再会以上のものだったってわけだ。」とアンソニーに言われたフレッドがハッとしたような顔になって、バーバラのもとへ駆け出そうとするものの、すかさずアンソニーが「けど、あきらめろよーう!」と声をかける場面だったり。
♪バイバイ UK そして何か という曲や♪恋人は元々アンフェアという曲でのデュエットも楽しい。飾らない二人の空気感が「ああ、親友ってこういうことを言うのかな。」って思わせてくれるというか。
フレッドとバーバラの恋物語が主軸ではあるのですが、この男同士の友情も同じくらい魅力的に描かれている作品だなと思っています。
白羽ゆりの美貌と美声
バーバラを演じるとなみちゃん(白羽ゆり)の美貌はやはり際立っていましたね。これはフレッドもイチコロですよ。笑(顔に惚れたわけではない。)
特に、舞踏会の夜の水色の輪っかのドレスがすごくお似合いで綺麗で…。他にも、ブルーと白のマリンな感じのワンピースや、真っ赤なドレスも素敵だったな。
あと、去年の星組ESTRELLASであーちゃん(綺咲愛里)が星サギの場面で着ていたパープルのワンピースも登場!
14年も前の公演で同じ衣装を見るとは…とてもそうは見えなくて衣装部さんのお手入れも素晴らしいのだなと感心してしまいました。
それはともかく、となみちゃんと言えばその美しい歌声も魅力的な方でした。♪何を期待していたのかというソロ曲も心に響きました。二人に未来はないのだと悟ったバーバラが切ない…。
そして別れのシーンで、目に涙をいっぱいに溜めて振り切るように走り去るバーバラの姿に泣かされました。子供の頃は理解しきれていなかったけれど、本当に大切に思う人だからこそ、こういう人生の選び方もあるのだということを改めて学んだような気がします。
やはり目立つ!柚希礼音の存在感
やっぱり目立つー!!ちえちゃん目立つー!!
今回はちえちゃんは船のバンドマネージャーという役どころで、劇中のショーでとなみちゃんと組んで踊ったり歌ったりしているのですが、存在感ありますよね。
身長も高いし、ダンスもダイナミックだし、歌も荒削りだけどよく響くし。特に、ダンスシーンはちえちゃんのダンスの上手さが際立ちますね。バレエをずっとやっていたこともあって、ポーズ一つ一つの形が綺麗だなって。なんというか、基礎がしっかりしているダンスですよね。
あとは、バーバラにお金を貸していることをいいことに、借金が返せないなら俺と一緒になれと言い寄って困らせるのですがその悪い感じもいいですわ…。かっこいいですわ…。
なんと2006年にこの方ナチュラルに壁ドンをしているのが衝撃的。壁ドンが流行ったのっていつだか覚えてないけど、2006年はさすがに時代の先端を行きすぎてびっくりしました!
また、ちえちゃんのトップ時代の代名詞の1つでもあった開襟もこの頃から健在。見えないギリッギリのスレッスレをねらってくる感じ。そう言えば、最近開襟でときめいたこと無かったなあ。現役さんでここまで開襟する方っていないですよね。
とにもかくにも、体格に恵まれ、実力に穴もなく、華もあり、キュンキュンも心得ている。これは上級生をごぼう抜きさせたくもなるな、と改めて感じました。当時、ちえちゃんはわずか研8。この公演のあと2番手に就任することになります。
コメディには未沙のえるがいなくっちゃ!
今は退団されていますが専科の未沙のえるさんもフレッドの執事役でご出演。未沙のえるさんといえばコメディ。巧いんだよなあこれが。もはや熟練の技。
台詞の間だったり、声色だったり、表情だったり…もう楽しくって楽しくって!ご主人様であるフレッドを追いかけ回し、タイミングよくぬうーっと現れるだけで何故面白いんだろうか。笑
そして、フレッドとちょっといい雰囲気になっているバーバラを微妙に目の敵にしている様子もコミカル。ああ、説明が上手く出来ないのがもどかしいのですが、きっとご覧になっている方は画面の向こうでうんうんとうなずいて頂けるはず!
やっぱり好きだな、未沙のえるさん。大好きだあ。
そんな未沙のえるさんが大活躍の私的おすすめ作品は「ME AND MY GIRL」と「パリの空よりも高く」の2つ。ああ、あと退団公演だったオーシャンズ11も好きかな。
私が未沙のえるさんを知ったのが退団する5年前だったので、そもそも観た作品があまりないのですが、その中でもこれらの作品はもう天才的に最高なので観たことのない方はぜひご覧下さい!
船上ならではの楽しいナンバーの数々
この公演は船上ならではのナンバーも見どころの1つ!
まず、バーバラが船のショーチームで踊っているという設定なので、このショーのシーンが何回かあるんです。私が1番好きなのは乗船の時の♪ウェルカムフレッド~ウェルカム・トゥ・アワ・シップの場面。水兵さんみたいなマリンな衣装がかわいくて好きです。
そして、ショーの場面ではとなみちゃんとちえちゃんが真ん中で踊るのですが、となみちゃんはやっぱり美しいし、ちえちゃんはオーラすごいし見応え抜群!
♪すばらしい船旅~ここにしかない楽しみ、これぞ贅沢ではそれぞれソロもあるのですが、この頃のちえちゃんのこもったようなうざったい歌声が好きだったなあ、なーんて懐かしんでみたり(ほめてる)。
経験を積むにつれてだんだんと歌もブラッシュアップされていったちえちゃんですが、2番手~トップ初期くらいまでの暑苦しいまでのギラギラ感がむしろ私は好きだったのです。
あと、船上ならではのナンバーと言えば♪備えあれば避難訓練でしょうか。乗船のあとにしいちゃん(立樹遥)演じる船長を中心に避難訓練をする場面があるのですが、これがめちゃくちゃで意味がわからなすぎて楽しい。笑
まず、設定からして船が氷山にぶつかった時、ですし。「宝石なら持ち出していいでしょ!?甘い!ここは海の上です!すぐにボートを漕いで船から離れよう!」みたいな歌詞ですし。字面だけ見るとどんな歌だよ!?って感じですよね。
なかなかの茶番ですが、この茶番を全力でやりきるのが星組のよさです。
乗り合わせた人々のサイドストーリー
フレッドとバーバラ、フレッドとアンソニーの関係性がメインのお話なのですが、同じ船に乗り合わせた人々のサイドストーリーもこれまたいいんですよね。
例えば、愛人の存在を妻にごまかすためにフレッドに協力を頼むスコットランド貴族。これを演じたのは現劇団理事であり、当時は星組組長の英真なおきさん。その妻を演じたのは現星組組長の万里柚美さん。
一見、このスコットランド貴族さまは女性にだらしのない人だな、という印象を受けるのですが…実は境遇としてはフレッドと同じ。フレッドも婚約者がいながらバーバラを愛してしまっているんですよね…。
さらに、陽月華さん演じる自称女優のドリーと和涼華さん演じるマネージャーのデイブの姿もまた、フレッドに影響を与えます。
女優として芽の出ないドリーでしたが、恋人でもあるデイブは彼女の成功を願って船に乗り合わせたブロードウェイプロデューサーのマクニール・オコーナー(涼紫央)と関係を持たせるのです。この作戦のおかげでドリーは上手いこと舞台のヒロインをゲットすることになります。
その様子を見ていたフレッドはデイブにこれでいいのか、と尋ねるのですが…。デイブはきっぱりと中途半端に首を突っ込むのはやめろと言い切ります。
小さい頃に観た時は気付かなかったけれど、フレッドは愛する人のために身を引いても構わないというデイブの姿からさまざまなものを受け取ったのだと思います。
それまで、バーバラへの思いばかり突っ走っていたフレッドが、結局はバーバラとの別れを選ぶことになるのにはそういう愛があることを知ったからなのかなって。
主人公との対比の対象を登場させたり、主人公の心情に影響を与える人物を登場させたり、見かけよりも作り込まれた話なんですよね。そんなサイドストーリーを味わってみるのもまた面白い作品です。
話は逸れますが、このデイブ役の和涼華さんが個人的に大好きで。シークレット・ハンターのイグナシオとか、エル・アルコンのキャプテンブラックとか、どの役も大好き。1番有名なのはスカーレット・ピンパーネルの初代アルマンでしょうか。個人的にはブエノスアイレスの風のリカルドも好きだったな。
お顔立ちが綺麗で好み、ということもありますが、どんな役でもいつもキラリと光る何かを舞台に添えてくれるんですよね。
今回のデイブもそう。役としては本筋に関わるわけではないんだけど、私たちの心にふっと何かを残してくれるような。彼女の演技があったからこそ、私もここまで作品を深く味わうことが出来たのだと思います。
彼女は研10になる頃に退団してしまったのですが、もったいなかったなって本気で思う方です。
昔から星組はコメディが得意だった!?
紅ゆずるという唯一無二のトップスターの影響で星組はコメディが得意というイメージが浸透していますが、昔から星組はコメディが得意だったんだなとこの作品を観て感じました。
メインキャストの方々はもちろん、一言二言しか台詞のないような方々に至るまでしっかり笑わせてくる感じ。がははとお腹抱えて笑うというよりは、くすっと笑ってしまうような場面が沢山散りばめられているのが楽しい作品でした。
説明が難しいのですが…例えば、メイド役の南海まりさんの敢えての棒読みキャラだったり。クルー役の天霧真世さんの前のめりな全力キャラだったり。現副組長の美稀千種さんも淡々とした台詞回しがツボでした。
このくすっと笑える場面と、しんみりとした切ない場面が交互に来る感じ、メリハリをちゃんとつける感じが星組って感じ。さすが星組。これぞ星組。
そうなってくるとやっぱり気になるのは…紅ゆずるの行方。
あのう、紅ゆずるさまはどちらにおいででしたか??私、後ろにちらりと映る方までくまなく探してみたのですが、いらっしゃいません。本気の本気でいらっしゃいません。休演はしていないはず。出演はしているはず。
紅さまの同期・麻尋しゅんさんはよくちらちら映るし、台詞もあるし、ザ・路線な扱いなのですが…。下級生時代に日の目を見なかった、定位置はいつも端、という話も大げさではなかったことを再確認しました。やっぱりさゆみさんの抜擢は本当に奇跡みたいなことだったんですね~!
ちなみに、この公演には後の月組トップ娘役・蒼乃夕妃さん、現宙組トップスター・真風涼帆さんはじめ、美弥るりかさん、夢乃聖夏さん、天寿光希さん、音波みのりさんもご出演でした。
また、幼い日のフレッドとバーバラを演じたのは紅5のメンバーだった如月蓮さん、そして後に月組に組替えし、トップにはならなかったものの大劇場公演でヒロインを務めた羽桜しずく(現・中島亜梨沙)さんでした。
昔の作品を観ると、後のスターさんたちの下級生時代も垣間見えたりして楽しいですよね!
主要キャストさんたちのその後
最後に本筋からは外れますが、主要キャストさんたちがこの公演の後どんな道を歩んだのか、簡単にお話ししておきたいと思います。
まず、この公演で退団した湖月わたるさんは、高卒認定を取得したのちになんと大学に進学。なかなか珍しいですよね。無事に卒業され、現在は舞台を中心に活躍しています。
トップ娘役の白羽ゆりさんはこの公演を最後に古巣の雪組に組替え。新トップ水夏希の相手役として引き続きトップ娘役を務めることに。雪組ではエリザベートなどを演じ、2009年に退団。卒業後はテレビドラマや舞台で活躍しています。
2番手だった安蘭けいさんは、湖月わたるさんの後任として星組トップスターに就任。相手役には白羽ゆりさんの同期でもある遠野あすかさんを迎えます。93期生初舞台公演「シークレット・ハンター」や「エル・アルコンー鷹ー」などに主演。そして、なんと言っても最大の代表作は「スカーレット・ピンパーネル」。2009年に退団後は舞台を中心に活躍しています。
柚希礼音さんはこの公演のあと、安蘭けいさんに次ぐ2番手に就任。当初は安蘭との実力差を指摘されることも多くありましたが、「スカーレット・ピンパーネル」で演じたショーヴラン役が好評を得ました。安蘭の後任として2009年に星組トップスターに就任。相手役には夢咲ねねを迎え、「太王四神記」でお披露目。「オーシャンズ11」や「ロミオとジュリエット」の初演や台湾公演も担当。宝塚100周年の顔として6年もの長きにわたりトップを務めました。2015年に退団後は舞台を中心に活躍中。
陽月華さんはこの公演のあとに宙組に組替えし、大和悠河の相手役としてトップ娘役に就任。在任中には、稽古中の怪我が原因で2作品を全日程休演するといったこともありました。2009年に95期生初舞台公演「薔薇に降る雨/Amourそれは…」で退団。卒業後は現在放映中の「警視庁・捜査一課長」をはじめとしたテレビドラマなどに出演。また、2010年より現在に至るまで「歌劇」で今月の華を連載しています。
おわりに
今回は私の星組初観劇作品でもある2006年の星組公演「愛するには短すぎる」についてお話してきました。
この作品は2011年に星組で柚希礼音・夢咲ねね・凰稀かなめ、2012年に月組で龍真咲・愛希れいか・美弥るりかで再演もされています。しばらく再演されていないから、また観てみたいなあ、なんて思ってみたり。
そして、星組はこの公演で代替わりをして、トップスターは湖月わたるさんから安蘭けいさんに引き継がれました。
お披露目公演は現在各組で2番手として活躍している彩風咲奈・愛月ひかる・芹香斗亜ら93期生の初舞台作品でもある「シークレット・ハンター」です。
こちらの作品もすごく楽しい作品になっているので、まだご覧になったことのない方はぜひこの機会に観てみて下さい!
ちなみに、今なら期間限定でYouTubeで主題歌も配信中!音楽の宝箱の企画でも礼真琴さんが主題歌を歌っていらっしゃいます~♡
また、愛するには短すぎると一緒に上演されたショー「ネオ・ダンディズム!」の主題歌も期間限定で観ることができます。おそらくこれはスタジオで収録した音源かな?2006年宝塚歌劇全主題歌集に収録されているものと同じものだと思います。
今はライブ音源だと思いますが、この頃は主題歌集のためにわざわざスタジオで収録していたんですよね。いつ頃切り替わったのかは覚えていないのですが、雑音がないし2番手さんがショーの主題歌を丸々歌うことも多かったので、今となっては貴重な試みだった気がします。
だいぶ話が逸れちゃいましたね。汗
最近、学業が忙しくてなかなかDVDなどを観れていないのですが、またちょっとずつこうして過去の作品についても触れられたらなと思います!それではまた。
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