観劇日記

星組ロックオペラモーツァルト感想【場面別②】

こんにちは、zukacotoです。

今回はロックオペラモーツァルト2幕について場面ごとに感想をお話して行きたいと思います。1幕の感想はこちらからご覧頂けます。

星組ロックオペラモーツァルト感想【場面別①】こんにちは、zukacotoです。 星組ロックオペラモーツァルトの感想を今回は場面を追って細かく書いていきたいと思います。今回は一...

喜劇、悲劇/道を開けろ僕が通る

幕開きは♪喜劇、悲劇(Comedie Tragedie)ではじまります。

父親の懇願により再びザルツブルクの宮廷音楽家になったヴォルフガングですが、型にはまるということが出来ない彼です。

コロレド大司教にウィーンへ旅に出たいと申し出ます。怒ったコロレド大司教はヴォルフガングを解雇しますが、彼は大喜び!

3回目の♪道を開けろ僕が通るを今度は一人で歌うのですが、3回歌っても全て歌い方が違うので飽きが来ないんですよね

この時は嬉しさ爆発、自由になれるという希望、新しいことがはじまる期待などが感じられて聴いていてこちらも楽しくなります。客席に手拍子を促したりするのも慣れたものですね。

さて、ウィーンでは新作オペラの作曲にヴォルフガングを起用する案が出ています。侍従役の咲城けいくんが可愛かったです。

そしてヴォルフガングの良くない噂をサリエリに吹聴されても「大いに結構!」と言うヨーゼフ2世役のヒーロー(ひろ香祐)は寛大さがとてもよく出てGOODでした。

彼女はあの95期のなかでもことちゃんに次いで次席入団を果たしていてその後も組内成績2番を守り続けていますが、それにしては役付きが…といった印象を持っていました。

しかしここ最近は実力に見合う役で舞台を締めていて!トップになると学年的に同期が組内に一人もいないということも珍しくは無いですが、ことちゃんの場合は3人もいらっしゃって。

そしてプレお披露目ではヒーローという頼もしい同期が出演していて。きっと心強いことと思います。

恋が足りない(Si je defaille)

そしてフリードンの死後、アロイジアを頼ってウィーンへ出てきたウェーバー家は下宿屋を営んでなんとか生活をしていました。

幸せだけど、何かが足りない。それはきっと恋だわ!

♪恋が足りない(Si je defaille)で朗々と歌うコンスタンツェがやっぱり魅力的。

圧倒的ヒロイン感があるんですよねこのお方。洗濯物のシーツからひょこっと顔をのぞかせる演出も可愛いですし。いーちゃん(音咲いつき)と星蘭ひとみちゃんとのハモりもよかったです。

ひとみちゃんはタカスペを最後に専科に異動して映像中心の出演になるとの異例の発表がありましたね。おそらく朝ドラなどの大きな仕事が決まったのではと噂されていますが…

舞台人としては成績から見てもあまり上手ではないといいますか、ちょっと残念な部分がありますが、舞台のどこにいてもぱっと目を引く美貌ですものね

このまま埋もれさせておくのは勿体ないかもしれません。頑張って欲しいなあと思います。

さて、その下宿に現れたヴォルフガング。ここに下宿させてくれと頼みます。セシリアは3匹の子羊を襲うオオカミではなく、守る番犬になってくれるならと許します。

するとさすがのヴォルフガングさま、セシリアに向かって「いえ、4匹の子羊を守ります(イケボ)」なんて言っちゃいます。

セシリアさま、あの、目がハートになっちゃってますよー!笑

ちょっとほっこりするシーンでした。

切り刻まれたプライド(Le bien qui fait mal)

場面が変わって新作、後宮からの逃走のリハーサルが始まろうとしています。しかし時間になってもなかなかヴォルフガングは現れません。

と!

ドライジーナに乗って楽しそうに登場するヴォルフガング!それを追いかけるコンスタンツェがかわいいんですが、ここのシーンでヴォルフガングとコンスタンツェの似ている部分がとてもよく感じられて。

ヴォルフガングと同じテンションではしゃいでいるコンスタンツェの姿を見たら妙に納得させられてしまいました

サリエリはヴォルフガングに第1楽章が長いからカットしてはどうかと提案するのですが

「完璧な音楽はカットできませーん」

とまあ悪気なく発言してしまうわけですよ。ことちゃんの言い回しは観客に対してはそうそうおまえはそういうやつだよな、くらいにしか思わせないのですがサリエリにとっては確実にカチンとくるという絶妙なラインを通っていて。

ああ上手いなあとまたまた感じてしまいました。

そして最終楽章まで完成されたスコアを「はい!」ってサリエリに渡すんです。あーかわいい。

じゃあ僕はオーケストラの人に挨拶してくるんで!と去ろうとしたヴォルフガングにサリエリが問いかけます。

「スコアなしでリハーサルをするつもりか?」

「あー、スコアは頭の中に入ってるんで!」

あーあ、またサリエリを怒らせるようなこと言っちゃいました。笑

無邪気さ炸裂の場面でしたね。

去り際に「あああそうだ!」と自転車を止めます。「ずっと聞きたかったんですけど、あなたでも笑うことがあるのですか?」

はいきた、噂のアドリブシーンですね。

私の時は「いけふくろう!」といってほっぺたふくらまして真似してました笑

あんなにアドリブむりー、苦手だーっていっていたのにジェンヌさんたちのなかでは上手い方に食い込んできていますよね

さすがにやり慣れたというか、鍛えられたなと。笑っちゃうサリエリを見て喜ぶヴォルフガングがまたこれがかわいいの嵐。そして笑顔の方が素敵ですなんて歯に浮くようなことをさらっと言ってしまうんですよ。

一方でじわじわジェラってきているサリエリ先生。

ジュースマイヤから最終楽章までわずか3日で完成させて、変わった作曲方法まで聞いてしまい、嫉妬がついに爆発してしまいます。

♪切り刻まれたプライド(Le bien qui fait mal)はジェラシーダンサーたちの迫力もみどころです。

ジェラシーに狂う凪七瑠海という、新たなおいしさの発見もありました。ここからヴォルフガングを貶めよう作戦開始です。

一人で眠る夜に別れを告げて(Les solos sous les drap)

手始めにコンスタンツェの母、セシリアをだまして3年以内にコンスタンツェと結婚しなければ罰金を払うという契約を結ばせます。

ここが最初ちょっと難しくてわからなかったんですが…

もともとヴォルフガングはコンスタンツェと結婚するつもりだったのに、こんな契約を結ばされてはお金のために結婚したとの悪評が流れる。

結婚しなかったらしなかったで罰金を払わされる。”よくできた罠”というわけです。

ヴォルフガングはコンスタンツェもグルだったと勘違いして怒ります。サインしてやるよ!と吠えて「モーツァルト様のサインだ、高く売れるぞ」とまたヴォルフガング節を炸裂させて去ってしまいます。

残されたコンスタンツエはセシリアにこんなことをなくても彼は結婚してくれた!結婚は法律でするものじゃない!!と噛みついて彼を追いかけます。

するとさっきまでモーツァルト様のサインだ!なんて息巻いていたヴォルフガングが「君がそんなことをするなんて。」と本当に傷ついた様子なんです。

子犬か!笑

裏でサリエリが糸を引いていたと聞いてさらに落ち込むヴォルフガング。それを見たコンスタンツェは契約書をビリビリ破いてしまいます。そして「僕のサインがああ!」とオロオロする彼に抱きついて「愛しているのよ!」とコンスタンツェ。

なんだかなこちゃんがイケメンに見えた…。少年漫画のヒーローみたいそしてことちゃんはさながらヒロインかのよう。

でもその力強い言葉にヴォルフガングは心動かされてプロポーズをします。よかった、ちゃんとたくましい男に戻って。笑

一方、弟が結婚することを知った桜庭舞ちゃん演じる姉ナンネールは反対する父に対して、ヴォルフガングはあなたの操り人形ではありません!と言います。学年的にお姉ちゃんに見えるか心配していましたが、全くの杞憂でしたね

♪一人で眠る夜に別れを告げて(Les solos sous les drap)ではソロもありました!とっても上手でした。全体を通してあまり出番はなかったけれど、弟を理解し見守る姿に心打たれました。

そしてそのまま結婚式のシーンに!プレお披露目でこんな多幸感にあふれた結婚式のシーンを入れてもらえて幸せですね。まわりの星組の皆さんもすごくいい笑顔でおめでとう!という祝福オーラがあふれていて。

すっごくいいものを見せてもらいました。石田先生ナイスです。

喜劇、悲劇 (Comedie Tragedie)

サリエリがいるのを知らずにモーツァルトは素晴らしい!と褒め称えるしどりゅー(紫藤りゅう)演じるローゼンベルクがなんともコミカルで。

あんたさっきまで批判してたじゃんーー!笑

しかしサリエリに弱みを握られてヴォルフガングを貶める作戦に協力する羽目に。ぴくりとも笑わずに「私とお友達になってください」というサリエリがこわすぎる

♪喜劇、悲劇でせっかくここまで出世したのにー!とハンカチを噛みながら歌うのがまた面白くて

最近はしどりゅーもいい味出しててこれから新生星組の戦力になると思っていたので組替えは残念でなりません。

宙組組替え後最初の作品は真風涼帆、芹香斗亜と星組時代下級生時代を共にした方々も出演されているのでちょっと安心かな?

さて、後宮からの逃走が成功して、次はダ・ポンテとタッグを組むというヴォルフガング。ダ・ポンテはサリエリといつも組んでたのに大丈夫か?との問いに

「ああ、気にすることないさっ!」とまたまたヴォルフガング節炸裂です。台詞回しに本当に嫌味がなくて素晴らしいです。(そろそろ褒めすぎてしつこい?笑)

そして革命を示唆すると上演を禁止されていたフィガロの結婚をやりたいと力強く宣言。

危険だ、と反対をする人々に危険分子上等、と夫の夢を後押しするコンスタンツェ。

刺激が欲しくて私は、何をしでかすかわからない男を愛してしまったのです。冒険にでかけるように

これは恋とは誰かのために犠牲になれるか、と歌っていたコンスタンツェらしい台詞で、ヴォルフガングへの愛が感じられて素敵でした。

殺しのシンフォニー(L’Assasymphonie)

一方、サリエリはヴォルフガングへの嫉みと音楽を愛する心との間で揺れていました。

♪殺しのシンフォニー(L’Assasymphonie)ではそれがとてもよく表現されていて、石田先生の脚本の穴を力技で埋めていたかと思います。笑

ここからヴォルフガングの死への足音が聞こえてきます。

フィガロの結婚は大成功、観劇に来ていたアロイジアと再会したコンスタンツェは水に流しましょうと歌い仲直りを。

離婚していまはシングルマザーだけど幸せよと言い切るアロイジアはどこかコンスタンツエに似ていて、性格も真反対でヴォルフガングをめぐって対立していたけれど、ああ姉妹だったんだなあと改めて感じました。

ここのシングルマザーなの、という台詞は石田先生の悪い癖が出ていてキライなんですけど。離婚したの、子供と二人きりだけど幸せよ、とかでよくないですか?

突然の使いたいだけの現代言葉が気になってしまいました。

ようやく家族そろったと思ったら、サリエリが現れて公演の中止を告げます。

皇帝の、君を批判するつもりはないが仕方が無かったんだ(だいぶ意訳)、との優しい言葉が唯一の救いでしたが…二人の子供の死というタイミングもあってヴォルフガングは死を身近に感じる、と言いはじめます。

その表情は母親が亡くなった時の怯え方を彷彿とさせていて。ロミジュリ新公の時もそうだったけど、こういう死への恐怖みたいなのやらせたらピカイチですよねえ

眠れ、私の天使よ(Dors mon ange)

そんなとき、追い打ちをかけるように父、レオポルトが亡くなったと知らされます。桜庭舞ちゃんの♪眠れ、私の天使よ(Dors mon ange)が心に染みます。

歌い継ぐことちゃんも絞り出すような涙声でより一層悲しみが感じられました。

絶望の底で死におびえるヴォルフガングのもとにレクイエムの作曲の依頼が舞い込みます。もうこのときのことちゃんの表情がまたおびえるを通り越しておびえ狂っているんですよ。

自ら死に飛び込んでいくかのようで、かもめを思い出しました。繰り返しになりますがやはりこういうのをやらせたらピカイチすぎますよね。

そして後見人役の桃堂純くんが妖しい雰囲気でヴォルフガングの恐怖をあおっていて。

それからヴォルフガングは寝込むようになります。それを聞いたサリエリはヴォルフガングを貶めて出世はしたが、音楽家として成功しているのは彼の方ではないかと葛藤しはじめます。

このお方は常に葛藤してますね。笑

病床のヴォルフガングはレクイエムの作曲と死への恐怖にとりつかれていて正気をなくしていて…その演技がまたすごくて見入ってしまいました。

そんな彼を訪ねるサリエリ。最後にようやくヴォルフガングの才能を認めることができます。

しかしヴォルフガングはハハ…と力なく笑い、音楽は料理と同じで人によってどれがおいしいと感じるかは違うんだと言います。彼なりのサリエリへの賞賛の言葉だったのだと思います。

そして、それは女房も同じと続けるヴォルフガング。もう、どういう意味よう!とおどけてみせるコンスタンツェが健気なんですよね。

僕にはちょうど良かったてことさ。

そうね、あなたには私くらいがちょうどよかったわね。

このやりとりが全てを物語っている感じがしてとても好きです。

このあと盆が回って録音の台詞が流れるのですが、ここはちゃんと肉声で聞きたいところだったなあ。特に最後、コンスタンツェの叫び。まあ録音でもなこちゃんは十分素晴らしかったんですが、やはり生の方が臨場感出る気がします

やすらぎに包まれて/ 恋のディスタンス

ここまでの流れが良かっただけにこの後の間延びがすごくて気になりました。笑

ドライアイスの中ヴォルフガングがとってもとってもかっこよく登場して♪やすらぎに包まれて(Vivre a en crever)を歌います。

雲から光が差し込む景色を想像させるような素敵な曲なんですが…

これをサリエリとデュエットしたあとにコンスタンツェと♪恋のディスタンス(Debout les fous)を歌うんですよ。

これまた全編通して歌詞が一番ださくてセンスがなくて。死んでからの尺の長さも相まって冷めちゃうんですよ。これフィナーレがなかったら相当やばかったですよ。終わり悪けりゃ、の代名詞になるところでした

どちらか一曲をヴォルフガングが死ぬ前に組み込んで、ラストの曲はサリエリ、コンスタンツェと順にデュエットして大団円とかにしたら宝塚らしくすっきりとまとまった気がしますが…

もし今後再演することがあるならば、ここは改善必須ではないでしょうか。色々気になりすぎてことちゃん、なこちゃん、カチャの歌を純粋に楽しめなかったのが残念です。

まとめ

最後に厳しいことを言ってしまいました…。不快になられた方いらっしゃったら申し訳ありません。

これからご覧になる方はことちゃんが仰っていたように、色々考えるよりは楽曲を楽しむ感じで、言うなればショーを見るときのテンションで観ると雑念が湧かず、純粋に作品を楽しめるかと思います。笑

楽曲のよさ、演者の質、衣装に関しては非の打ち所がなく素晴らしい作品だったと思います。

とくに我がご贔屓ことちゃん。異次元のパフォーマンスに恐怖さえ覚えました。1幕ラスト♪バラの上で眠りたいの衝撃は一生忘れません。

そしてなこちゃん。まだ若いのにことちゃんと肩を並べられていてすごかった。礼真琴に”ちょうどいい”方だなと思いました。溌剌としてお転婆で自由で。そんなディズニープリンセス感が魅力だなと感じました

プレお披露目でこれですから、これからお2人はどこまでいってしまうのか。楽しみでなりません。最後までお読み頂きありがとうございます。

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zukacoto
宝塚が大好きな大学生。 初観劇は2006年雪組全国ツアーのベルサイユのばら。現在の贔屓は星組トップスター礼真琴さま。 プロフィール詳細はこちら

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