こんにちは、zukacotoです。
今日は2017年の宙組公演「神々の土地~ロマノフたちの黄昏~」についてキャスト別に感想をお話して行ければと思います。
3年前の作品ですが当時はチケットが取れず。随分前にNHKで放送されたものを録画したものの観る時間がなくてここまで来てしまいました。
いやあ、なんでもっと早く観なかったんだろう。めちゃくちゃよかったです。脚本も演出もキャストの皆様のお芝居も。
感激のあまり、先日思わず1万字超えの感想を書いてしまいました。
さすがに長過ぎたなと思ったので笑、今回は短縮版として要点を絞ってお話して行きたいと思います。
ドミトリー・パブロヴィチ・ロマノフ:朝夏まなと
この公演が退団公演となったまあ様ですが、とにかくこのドミトリーという役は男役冥利に尽きるといった役どころでした。
煙草や銃を扱うシーンがあるという「仕草」の面だったり、衣装の多くが軍服であるという「着こなし」の面でもそうでした。
特に、私は喫煙シーンが好きでした。台詞を言いながらポケットからライターを取り出して火を点ける一連の流れがもう堪らない!
そして、何よりもこのドミトリーという方のお人柄がとっても魅力的なんです。
とにかく誠実、誰に対しても。思慮深くて周りへの配慮が細やか。言うべき時にははっきりと意見を言い、愛しい人に対しては時折甘えてみせたりする。
特に印象的だったのはジプシー酒場のツィンカで、オリガにかけるこの言葉。
「この世は意見の違う人間だらけだ。言い争ったっていい。だが背を向けるな!」
ドミトリーの熱きメッセージにすっかり私は胸を打たれてしまいました。
お芝居で好きなところを挙げるとキリがなくなるので、気になる方は前述の1万字のレビューをお読み下さい。笑
他に挙げるとするならば、歌ですかね。上手くなったなあ、と感慨深いものがありました。
まあ様は私、花組の新公時代から拝見させて頂いているんですが、その時は新公主演をした人の一人としか見ていなくて、特に興味を示すわけでもなく。
そんな感じだったので「ファントム」のシャンドン伯爵に抜擢されたときは驚いたのを覚えています。
母がこのシャンドン伯爵を見て「まなとくん格好いい!」と言い始めた横で、私にはイマイチまだ響かず。歌も正直この時点では微妙という感じだったし。(ごめんなさい、まあ様!)
まあ様への見方が変わったのは宙組に組替えして最初の公演「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」のキルヒアイス役でした。ラインハルトにひたすら尽くす姿に心打たれてしまって。
歌唱力もぐんと上がっていたことも驚きました。当時のトップスター・凰稀かなめとのデュエット♪フレイヤの星は大好きすぎて未だにスマホのプレイリストに入っています。
トップになってからもぐんぐんと歌に磨きをかけたまあ様。堂々たる歌唱を聴いているとついそんなことを思い出してしまいました。
退団公演は駄作だというのが半ばセオリーとなっていますが、少なくともまあ様の場合は当たりでしたね。
フェリックス・ユスポフ:真風涼帆
最初は冷たい表情で、嫌味なことばかり言うし、皇帝一家からも嫌われているということで完全に嫌なヤツ認定をしていたんです。
…が、徐々に愛おしい存在になってくるんだこれが。だんだんと感情を露わにしていく感じがとても好きでした。
フェリックスは皇帝をも上回る資産を持つ公爵様。ドミトリーが軍服姿であるのに対して、フェリックスは一貫してスーツか燕尾姿。まさに悠々自適という感じ。
このスーツが格好いいんだまた。さすがゆりかちゃん。
しかし、彼には彼なりの信念があるという。美術や芸術を高みに押し上げてきたのは我々貴族であると。
そう自負しているところだったり、オリガに反駁されても怯むどころか言い返すところが何とも図太いですよね。革命を生き延びるのも納得です。
しかし、ドミトリーとイリナを再び引き合わせたいと願って、自分のレンブラントのコレクションをボリシェビキに渡してしまったりと意外と人情深いところもあるし。
ジナイーダに「嫉妬した?」と聞かれて「どっちが?」と返すところだったり、ドミトリーとイリナの別れのシーンで「車で待つ!」と吐き捨てるところだったり。最後の方になってくるともうフェリックスが可愛くて可愛くて仕方なかったです。笑
ゆりかちゃんにとっては2番手最後の役となりましたが、いい役をもらいましたね。
大公妃イリナ:伶美うらら
この公演でまあ様と一緒に退団したうららちゃん。
登場シーンからその美貌と真っ白な肌、そしてスッと伸びた背筋に目を奪われました。
ジナイーダが「美しいものを見ることは価値がある」と繰り返し言うのも納得です。舞踏会のシーンの衣装もすごく素敵でした。
イリナはドイツから嫁いできてロシア人になろうと努めてきただけあって、どこか一本芯が通っているんですよね。登場シーンのパーティーで見事に客人を捌く姿がまさにそう。
人々が「アレクサンドラではなくてイリナが皇后なら。」と言う気持ちもわかりました。
星風まどかちゃんとWヒロインということだと思っていましたが、完全にまあ様の相手役として描かれていてほっとする部分もありました。トップ娘役にはなれなかったけど、最後に大劇場のヒロインが出来てよかったなと思います。
皇女オリガ:星風まどか
オリガがドミトリーに連れられて世界を広げていく様子がとても好きでした。
まずはツィンカでの場面。両親の悪口を皆が言っていると知って帰ろうとするオリガでしたが、ドミトリーの言葉で堰を切ったようにうわーっっと反駁するのが印象的でした。
若干舌っ足らず感のある台詞回しもここではすごく一生懸命な感じに見えてよかったと思います。異質な存在だと思っていたオリガですが、話してみると結構いい子じゃないか、なんて思ったり。
そして、オリガはドミトリーに恋をします。♪オリガの歌はさすがの安定感。キラキラと輝く瞳を見て、この先起ころうとしている不穏な動きにオリガが気付かなければいいのにとつい思ってしまいました。
しかし、彼女は成長していた。クーデターに関する密談を聞いてしまったオリガでしたが、祖母・マリア皇太后に対しても勇敢に言葉をかける姿がとても印象に残っています。
そんなこんなで彼女がどんどん明るく魅力的になっていただけに、最後のシーンはつらかったです。母である皇后アレクサンドラと運命を共にする覚悟を決めたオリガがスッと流す涙が悲しかった。
その後の史実を思うとドミトリーが彼女に広い世界を見せたのはむしろ残酷なことだったのではないだろうか…。いや、何も知らずに命を落とすよりは幸せだったと信じたい。
このオリガという役を研4という若さで演じきったまどかちゃんに拍手です。
その他の役
ここからはその他の役で印象に残った方をピックアップしてみました。
皇太后マリア:寿つかさ
すっしいさんはこの公演では女役に。開口一番の男役声に驚いたものの、物語が進むにつれて納得しました。
皇帝の母でありながら、息子を廃位しようと企てるだなんてたいそうな方です。ちゃっかり革命を生き延びてるし、図太いというかしぶといというか。すっしいさんくらい貫禄のある方でないと務まらない役だと納得しました。
ドミトリーとオリガの結婚披露パーティーで「我が家は禁煙です。」と煙草を咎められた皇太后様が、自分でお祝いにと持ってきた植木の土で火を消すところも印象的でした。マリア皇太后のお人柄がよく表れていたシーンだったと思います。
ジナイーダ・ユスポワ:純矢ちとせ
このお方もしぶとい。せーこちゃんにぴったりなお役でしたね。
「美しいものを見ることは価値がある。」
と繰り返し発言するのが印象的でしたが、この台詞はフェリックスの発言にも繋がるんですよね。芸術を高みに押し上げてきたのは我々貴族である、っていうアレです。やはり親子だなあ。
そして、この方はいつも何だか楽しそう。
ちょっとした悪戯よ、とイリナを戦地から呼び戻したり。ドミトリーとイリナの睦まじい様子を見て少し機嫌の悪い息子に「嫉妬した?」なんて聞いてニヤニヤしたり。
こういう人が結局生き残るのよねえ。
コンスタンチン・スモレンスキー:澄輝さやと
コンスタンチンはオリガにも「きちんとして見えるわ。」と言われるだけあって、まさに好青年という感じの雰囲気が出ていてよかったです。
ずんちゃん(桜木みなと)演じるソバールにキツい言葉を言われてもすぐに謝るところとかいい人過ぎて。
尚更ラッダとの恋が実って欲しかったと切実に思います…。彼にこの先幸せが訪れますように、なんてつい祈ってしまいました。
皇后アレクサンドラ:凛城きら
この公演では女役に挑戦することになりましたが、発声も自然で驚きました。
皇后アレクサンドラは怪僧ラスプーチンを信ずるあまり周りとは距離を置き、ドミトリーの心からの進言にも耳を貸そうとしない。まさに貝殻に閉じこもる頑なな姿が印象的でした。
が、常に表情を硬くしてそこに居たのは、周りから自分を守る鎧の代わりだったんだろうなとも思う。
最後にオリガに抱えられて捌けていくその小さな背中に、この人はこの人なりに一生懸命生きていたんだということを感じてちょっぴり切なくなりました。
ラスプーチン:愛月ひかる
…いやもう聞いてはいたけど想像以上。
やべえ。これはやべえ。
リンゴをむしゃむしゃかじり、不気味に笑い。目つきも完全にイッちゃってる人そのもので。
ラスプーチンを見ていると得体の知れぬ恐怖感が襲ってくるのです。
これはドミトリーが「彼はまともな人間ではない。」と言うのも納得ですし、フェリックスが「おい、あいつを殺そう…。」と言うのも納得の気持ち悪さでした。
彼が異質であればあるほど、皇帝一家の異質さも色濃く出るわけで。
タカラジェンヌがやるような役じゃないし、ましてや当時3番手だった愛ちゃんがやるような役じゃ決してなかったですが、きっちりと演じきるプロ意識が素晴らしいです。
ラッダ:瀬音リサ
ツィンカの歌手という役どころだけあって♪土よという曲を歌うのですが、迫力満点で最高でした!
コンスタンチンと弟・ソバールとの板挟みになって苦しむ様子を短いシーンの中でよく表現されていたと思います。
ソバール:桜木みなと
ラッダの弟でツィンカのダンサーですが、実はボリシェビキだったという役どころ。
特に印象的だったのはラッダに花をプレゼントし続けるコンスタンチンに対して言葉を投げるところ。
花なんて金持ちにしか価値はなく、俺たちには食べ物の方がよっぽど価値あるんだ、といった内容の発言をするのですが…。
「それが侮辱だって言ってるんだ!」と吐き捨てたその瞳が潤んでいたのが印象的でした。
ザ・若手の役という感じで群舞でも真ん中で踊ったりとオイシイ役でしたね。
ずんちゃんと言えば最後のシーンのカゲソロも素晴らしかった。まさに神々の土地を思わせるようなスケールの大きさを感じる歌声でした。
おわりに
今回は宙組公演「神々の土地」の感想をお話してきましたがいかがでしたでしょうか?
久々にお芝居そのものを味わうことが出来る作品に出会えた気がします。たまにはこういった作品もいいですよね。
年明けにまたNHKで宝塚作品が色々と放送されるようなので、色々と録画してみようと思います。時間の許す限り感想も書くつもりですのでお楽しみに。
最後までお読み頂きありがとうございました。それではまた。
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