観劇日記

雨に唄えば(2003年星組)を観る|安蘭けい×大和悠河×陽月華×真飛聖

こんにちは、zukacotoです。

今日は、2003年に日生劇場で上演された星組公演「雨に唄えば」のDVDを久々に観たので感想をお話していきたいなと思います!

 私が宝塚と出会ったのは2006年のことなのですが、実はそれより前の作品を観る機会というのはあまりなくてですね。思い出せる限りだと…

  • 2002年花組「エリザベート」
  • 2003年星組「王家に捧ぐ歌」
  • 2003年星組「雨に唄えば」
  • 2004年宙組「ファントム」

たった、この4作品だけなんです。あまり昔の作品を観ようという気が起きなかった私がこの作品を観たのは、ずばり安蘭けい主演というところに惹かれたのが大きいです。宝塚ファンになって14年経ちますが、未だに3本指に入るくらい大好きなジェンヌさん。

そんな大好きなとうこさんの作品。久々に観てもやっぱり「いいなー!」って思いました(語彙力)。何度観ても、何年経っても好き!って思わせてくれるとうこさん、最強です。

作品概要

まずは作品概要から!「雨に唄えば」は元はアメリカ映画で、1952年に製作されたようです。その後、80年代にロンドンやブロードウェイで舞台化されました。

物語の舞台は1920年代のハリウッド。主人公・ドン(安蘭けい)は無声映画の人気スター。同じく人気スターのリナ(真飛聖)とはよく相手役を演じていました。

ある時、ライバル会社のワーナーがトーキー映画(現在の映画のように音声と映像が同期した映画)を成功させたことから、ドンたちもトーキー映画の撮影に挑むことになります。しかし、ここで1つ大きな問題がありました。リナは信じられないほどの悪声の持ち主だったのです。

ドンと親友のコズモ(大和悠河)は、女優志望のキャシー(陽月華)にリナの声の吹き替えを担当させることを思いつきます。プライドの高いリナがこのことを知れば激怒するに違いない。3人は秘密裏に準備を進めるのですが…。

この作品はそんな無声映画からトーキーへの移り変わりの時代を、コメディタッチに描いたミュージカル作品。ドンとキャシーの恋、そしてコズモとの友情も見どころです。

宝塚では2003年に星組日生劇場公演で安蘭けいにより初演、2008年に宙組梅田芸術劇場公演で大和悠河主演で再演、そして2018年には月組TBS赤坂ACTシアター公演にて珠城りょう主演で再々演されています。

腹を抱えて笑えるコメディ作品

雨に唄えばというとミュージカルのイメージが強いですが、それ以上に随所に笑いのエッセンスが組み込まれているのが特徴です

しかも、クスッとかいうレベルではなく腹を抱えて笑っちゃうポイントが沢山!面白すぎて拍手が起こっちゃうシーンなんかもあるんです。

例えば、無声映画の撮影シーンで音が収録されないのをいいことに、ドンとリナが体や顔ではラブシーンを演じながら罵り合いをするシーン。ドンは口では「蛇女め。」とか「このガラガラ蛇め。」とか言いながら、情熱的にリナにキスをしたりするんですよ。

このミスマッチ感がもう面白すぎて大爆笑!…それにしても、ガラガラ蛇なんてワードを久々に聞いたような気がするのですが。笑

あとは、トーキー映画の試写会で映像と音声がずれてしまうシーンもお腹抱えて笑いました。「イエス、イエス、イエス。」と迫る男性、「ノン、ノン、ノン。」とそれを拒む女性、という場面なのですがこれがずれてしまってあべこべになってしまうんです。

くだらないと言えばくだらないのですが、こういう単純なやつがなんだかんだで1番面白い気がします。

あと、トーキーが流行に合わせて、ドンたちが発声練習をするシーン。先生役の祐穂さとるさんが面白かった!笑 アドリブシーンでもあるのですが、難なくこなしていらっしゃって。

この方、地味に好きなんですよね私。退団公演でもあったスカピン初演で演じたメルシエが印象的でした。

そして、やはりコメディというだけではなく、有名なナンバーがたくさん出てくるのも魅力的!なんとなくどこかで聴いたことがあるような曲ばかりなんですよね。

主題歌♪SINGIN’ IN THE RAINはもちろんのこと、♪FIT AS A FIDDLE♪YOU ARE MY LUCKY STAR♪MAKE ‘EM LAUGH♪GOOD MORNINGなどなど…。

題名だけ聴いてもピンと来ないかもしれませんが、きっと皆様も一度はどこかで聞いたことがある曲ばかりだと思います。知った曲があるとその場でノレるのでより楽しいですよね

さらに、タップダンスがところどころに盛り込んであるのも視覚的に楽しい作品です。ただでさえタップダンスって難しいそうなのに、タカラジェンヌという人たちはこれを歌いながらやっちゃいますからね。幕開きの♪FIT AS A FIDDLEは特に見どころです。

出来上がりすぎな安蘭けい

いやはや、下級生の頃から上手かったというのは聞いていましたが(首席入団ですしね)、さすがに出来上がりすぎていて驚きました!

この時研12?とかで、既に2番手だったといいますが…トップになるにはあと3年も待たなければならないんですよ。もうトップでいいじゃん!?レベル高すぎて震えます。

まず、皆様もご存じの通り、声がいいですよね。台詞の声も聴き心地よく、滑舌もよくて。そして歌声が素晴らしい!当たり前のことを言いますが、やっぱり歌が上手い方のミュージカルはいいですよね。

そして、お芝居がまたいいんです。ふっと力が抜けていて自然体。それが1番わかるのが1番有名なシーン♪SINGIN’ IN THE RAIN

舞台に実際に雨を降らせているのですが、この雨を心から楽しんでいることに本当に驚きました。水をバシャバシャやってはしゃいでいるのがかわいい。笑

極めつけははしゃぎすぎて持っていた傘を振り回した結果、傘がひっくり返ってしまうというアクシデントがあったのですが(これ、アクシデントで合ってますよね?それとも毎回傘がひっくり返るやつですか?)、それすらも笑いに変えるという機転が素晴らしい!

通行人役の人にその壊れた傘を差し出しながら「水溜まりますよ~。」と仰ったところで私の腹筋はお逝きになりました。笑

あれ…大和悠河、歌上手くない?

あれ…大和悠河、歌上手くない?

開始5分、安蘭けいとデュエットした♪FIT AS A FIDDLEを聴いてびっくりしました。大和悠河は歌がちょっと、という固定概念がありましたが、普通に歌えているじゃないか。

安蘭との声の相性の良さもあるかもしれませんがハモリも綺麗でしたし、ソロ曲♪MAKE ‘EM LAUGHも緩急があって楽しかった!いわゆる歌い上げというのも出来ている。

なんで大和の歌が上手だと思ったんだろうと考えてみたのですが、歌が下手なジェンヌさんに慣れてしまってきていたからなのかと

今の下手のレベルと10年前の下手のレベルが全然違う!ここ数年でどれだけ”歌劇団”の歌のレベルが落ちているかを身に染みて感じました。(厳しい言い方をしていますが、愛があるこその指摘と捉えて頂ければ幸いです。)

大和の場合、声量があったのは大きいのかも。今のジェンヌさんは声が伸びきらず、声がかき消されちゃうような弱々しい方が多くて…。私は歌を習ったこともないド素人なので原因はよくわかりませんが、発声法とかなんですかね?

今のジェンヌさんはそこだけでもなんとかすれば聴ける人がたくさん出てくるのではないでしょうか。

さて、歌ばかりにフォーカスしてしまいましたが、この作品は大和のいいところがたくさん出ていたなと感じた作品でもありました。特出だと思えないくらい星組に馴染んでいらっしゃる。安蘭とは歌ばかりでなく演技の温度も合っていたなと感じました

いい塩梅に力が抜けていて、気負いがなくて自然体。アドリブなのか台詞なのか境目がわからなくなるくらい。舞台を楽しんでいるのが伝わってきましたし、とても生き生きとしていたのが印象的でした。

安蘭と大和の組み合わせが意外にも私的に大ヒットだったので、もう何作かこの2人が組んだところを観てみたかったなとも思いました

真飛聖の喉が心配

声が残念、という役どころのリナを演じた真飛聖。女役というだけでも大変だっただろうに、全編通して裏声のガラガラ声で演じきった真飛には最大級の賞賛を贈りたいです

シンプルに喉が心配になりましたが…大丈夫だったんでしょうか?笑

しかも、この声のまま歌い出しちゃった時はびっくりしすぎて椅子から転げ落ちるかと思いました。しかも、台詞もそうでしたが、このガラガラな裏声でいて何を言っているかちゃんとわかるのが素晴らしすぎる。

キャシーを辞めさせたりとか結構ひどいことするのに、なんだか憎めない愛されキャラに仕上がっているところもいい。

今までかっこいい男役さんという印象しかなかったですが、こんな振り切った役も出来る方とは!さすがはMr.YU様ですね。

タカラヅカスペシャル並の出演者の豪華さ

まず、メインキャストの4人からして豪華すぎるんですよ。主演に後の星組トップスター・安蘭けい、そして宙組トップスター・大和悠河宙組トップ娘役・陽月華花組トップスター・真飛聖

しかもこの4人、在任していた時期がほぼ同じなんですよ。まさにタカラヅカスペシャルを観ているかのような錯覚に陥りました。笑

それだけではありません。本公演でもないのに専科から萬あきら藤京子星原美沙緒五峰亜季と4人もご出演。なかなかにすごいですよね。

そして、後に大逆転大ヒットで星組トップスターに就任することになる若き日の紅ゆずるの姿も伺うことができます。当時研2とかなので、当然と言えば当然ですがその他大勢でのご出演でした。

しかし、映画のレポーター役を演じた藤京子さんのマイクの移動を担当されていたということでカメラにばっちり写っていらっしゃいました。

後のスターさんのこういったお姿を拝見すると、なんだか宝探しじゃないですが「ああ、やっぱりここから皆さん頑張ってきたんだよな。」というのを見つけられた気がして嬉しくなります。

未来の宙組トップコンビ

コズモ役の大和悠河と、キャシー役の陽月華は3年後に宙組でトップとしてコンビを組むことになるのですが…

今観ると、なんだかお見合いみたいな感じがしますね!やっぱりビジュアル最強。目が幸せすぎる…。

それもこれも、当時結構なスターさんたちが他組へ特別出演をする機会があったからこそ。今だととても考えられませんが、こういう試みで思わぬ相性のよさを発掘できる可能性もあることを考えたら、たまにはやってみてもいいのかなとは思います。

スケジューリングも大変だし、ジェンヌさんたちも大変だと思うので、ファンの勝手な願望ではあるのですが。汗

ちなみに、このお二人がトップになったときにドンを大和で、キャシーを陽月で雨に唄えばを再演をすることになったのですが、残念ながら陽月が怪我で休演したことにより二人のコンビで観ることは叶いませんでした。

宝塚あるあるですが、どちらかが組替えでやってきた場合、二人に縁のある作品を再演することがあります。これもそういうことで再演の運びとなったのだと思いますが、観ることができなかったのは今でも残念だったなと思わずにはいられません

おわりに

さて、今回は2003年星組公演「雨に唄えば」についてお話してきましたがいかがでしたでしょうか?

主演・安蘭けいの素晴らしさはもちろんのこと、周りをかためるキャストの方々もレベルが高く、コメディ作品としてもミュージカル作品としても質の高い作品に仕上がっていると改めて感じました。

とにかく、観ていて楽しい作品なので皆様も機会がありましたらぜひご覧になってみて下さい!それではまた次の記事でお会いしましょう。

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zukacoto
宝塚が大好きな大学生。 初観劇は2006年雪組全国ツアーのベルサイユのばら。現在の贔屓は星組トップスター礼真琴さま。 プロフィール詳細はこちら

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