こんにちは、zukacotoです。
久々の更新になってしまった。しばらく忙しい日々が続くので、一段落付くまでまたマイペースな更新になると思います。
さて、今日は月組公演「ピガール狂騒曲」の感想をお話していこうかなと。
ショーの方はこちらに書いたので併せてどうぞ。
それではさっそく参りましょう!
全体の感想
まずは全体的な印象を。
前評判がすこぶるよかったので期待して観に行ったのですが…。
いや、よかったです。楽しかった。
芝居の月組の真髄を観たような気がしました。皆さんが舞台を楽しんでいらっしゃるということがよくよく伝わってきて。
特に、組長・光月るうをはじめ、上級生チームが本当に生き生きとしていらっしゃるのが印象的でした。
物語の舞台は1900年のパリ。後にベル・エポックと呼ばれた輝かしき時代です。随所で盛り込まれているアコーディオンの音色が何とも懐かしいような気持ちにさせてくれますよね。
話の展開には若干「???」とならざるを得ない部分もありましたが(ガブリエルがヴィクトールとあっさりくっついちゃうところとか)、全体的にはそんなこんなですごくよかったではないかと思います。
さて、ここからはキャスト別に感想をお話していきます。
珠城りょう:ジャック・ヴァレット/ヴィクトール・バーレンベルク
今回、一人二役ということでしたが、今までに見たことないタイプの一人二役でしたね。
一人二役というと、例えばそれこそ赤と黒のフーケとコラゾフ公爵みたいな感じで、別人を演じるということになりますが…。
今回は別人ではあるけれど、双子ちゃんという設定なので同時進行で二役を演じなければならない。
劇中で「また着替えた!!」みたいな感じで言われていますけど、いや全くその通りでこれは大変だろうなと。早替わりもそうだし、演じ分けという意味でも。
しかし、たまきち(珠城りょう)はいたってニュートラルな演技を貫いていて。
ジャンヌを演じる上では若干いつもより声を高めにしていましたが、それも普段の話し声程度で無理に高くしようとしていなかったですし、ヴィクトールを演じる上でも特別声を低くしたり男っぽく振舞ったりもしない。変にキャラクターを作り込んでもいない。
演じ分けることに注力しすぎていないのが、かえってよかったなと思います。
そして、ジャンヌちゃんはかわいい。
ここに来てかわいいたまきちが観れるなんて。
シャルル(月城かなと)がガブリエル(美園さくら)のことをあんなにいい女はいないみたいな感じで褒めた時に、ちょっと傷ついてる顔をするところとか乙女そのもので。
一瞬だけ観れるドレス姿にはさすがに男役を感じましたけどね。笑
今まで観てきたたまきちの役のなかで1番好きかもしれないです。
美園さくら:ガブリエル・コレット
ガブリエルは小説家である夫のゴーストライターをすることに辟易し、自分の足で歩きたいと願う時代の先端を行く女性です。
たまきちが実質ヒロインなので、ガブリエルは第2ヒロインみたいな感じになっていますが、存在感ばっちりで割を食ったようには感じなかったです。そこだけがどうしても心配だったのでほっとしました。
終わりが見えているからこそ、やりがいのある役をやってほしいという気持ちがあったので。
そして、ポスターのストライプの衣装もそうでしたが、以前宝塚GRAPHのTHE COSTUMEで紹介されていた黒のドレスもすごくお似合いでした。まさに時代の先端を行く洗練された女性という感じで。
何よりウエスト細すぎてびっくりしましたよ!
ラストの展開には「え?」となりましたが、どうやらモチーフになっている十二夜が元々そういう話らしく。さくらちゃんの幸せそうな笑顔もかわいかったのでまあいっかという感じでその時は軽く流しました。笑
が、元々自立を望んでいた女性が大金持ちの貴族と結ばれるなんて、今考えるとちょっと皮肉的な展開ですよね。時代背景に合わせて、小説家として名を馳せるお姿を描いてもよかったのでは、という気もしてしまいます。
月城かなと:シャルル・ジドレール
私的MVPです。いや、シャルルおじさんめちゃくちゃ魅力的すぎません!?
たまきちが宝塚GRAPHのトークDXで「ジャックと一緒にお客様にもシャルルに恋してもらいたい」と仰っていましたが、本当に恋しちゃったよ。
今回れいこちゃん(月城かなと)が演じたのはムーラン・ルージュの支配人。
最初はワンマンないけ好かない経営者かと思っていたら、子供の頃の夢を今も追いかけているピュアな一面もあって!
そして、仲間思い。衣装合わせを前に「あの子たちにきっと似合うだろう。」って愛おしそうに仰るものだからグッときてしまいました。
そして、れいこちゃんの本領発揮は♪夢のかけら。
起死回生の一手として臨んだ新作レビューが失敗してしまい、シャルルは死を考えるまでに思い詰めてしまうのですが…。
れいこちゃんの眉間のシワと瞳にスッと落ちた影に、彼女本来の持ち味が活きているのを感じました。ジャックに夢を語っていたあのキラキラとした瞳はどこへ。
研12でこれだけの哀愁を出せるとは…稀有なお方です。
感激のあまり、普段あまり配信曲とか買わないのに買っちゃいましたよ。
カフェブレイクで太宰治を演じてみたいと仰っていましたが、今回の♪夢のかけらの場面を拝見してこれはぜひやって欲しいなと私も思いました。
太宰治じゃなくても、何かこう刹那的に生きているような役が見てみたい。きっとお似合いになるはずです。
余談ですが…。ラストシーンでジャンヌとシャルルが、いえたまきちとれいこちゃんがキスをしているの、めちゃくちゃエモくないですか。
大々的にやらずに、幕が降りかけているところでフッとやるというのもなかなかにニクい演出。
普段そういう趣味があるわけではないですけど笑、エリザベートのトートとルドルフだったり、男役さん同士のキスシーンってそういう不思議な魅力があるなと思います。
鳳月杏:アンリ・ゴーティエ=ヴィラール
ガブリエルに小説を書かせているとんでもないモラハラ男かと思ったら。
あれ、あれ…。だんだんと何か崩れてくるこの感じ。笑
なんだか憎めないんですよね。結構ひどいことしてるのにね。そこはコメディということで軽く仕上げてきているのがよかったです。
特に、ヴィクトールとジャックを間違えて決闘を始めようとするところが印象的!今だったらずっと前髪触ってそうなタイプのナルシスト、という感じがよく出ていて面白かったです。
暁千星:レオ
ありちゃんは今回はムーラン・ルージュのダンサーという役どころで、物語に関わってくるというよりはレビューシーン担当みたいな感じでした。
研10になろうとしている彼女には役不足感が否めませんが、さすがの身体能力を発揮していらっしゃって印象は抜群によかったです。
トウシューズでもないのに軽く3回転しちゃうし、あのフェッテの軸のブレなさは素晴らしい。
風間柚乃:ボリス・デュポン
ウィリーからガブリエルとの離婚を阻止するよう依頼されて奔走する弁護士という役どころ。めちゃくちゃにオイシイ役でしたね。
初っ端から、ガブリエルとの銀橋での会話で彼女の口調を真似して一笑い取っていましたし。
あの女装シーンは思わず「おだwwwwwww」と心の中で草生やしてしまいました。
なんか…だいぶゴツいんですよね。そして、いちいち台詞の間が絶妙で笑いをこらえるのに必死でした。
いやもう、あなたタカラジェンヌ何回目ですか?という感じ。早くバウ主演しましょう!
その他
今回は娘役さんだと天紫珠李ちゃんが目立っていましたね。元々男役さんということで正直どうなんだろう、と思っていましたがめちゃくちゃ可愛らしい声でびっくり。歌もお上手でした。
逆に海乃美月ちゃんにはあまり台詞がなかったのに驚きました。前回は一人降りもしたというのにエラい扱いの違いで。次期トップ娘役が期待されているだけにこの扱いは気になってしまいました。
そして、今回悪役的な役割を担っていたのがまゆぽん(輝月ゆうま)。
まゆぽんっていわゆる路線スターじゃないのに、ロミジュリ大公役に始まり扱いは抜群にいいですけど、起用したくなるのもわかります。主役を食わない程度に存在感出してくる感じが上手い。
95期がすごいと言われる所以はこういった”職人さん”の存在によるところも大きいということを改めて感じました。
おわりに
今回は月組の「ピガール狂騒曲」の感想をお話してきました。
なんと今回こちらの作品はショーと合わせて「令和2年度文化庁芸術祭賞」の優秀賞に選ばれたとのこと。そして、脚本を担当した原田諒先生は新人賞を受賞されたとのことです。
おめでとうございます!
宝塚作品が受賞するのはざっと調べたら宙組クラシコ・イタリアーノ(2011年)まで遡るようで…?(見落としていたら申し訳ない。)
どちらにせよかなりのレアケースであることには間違いなく。月組の皆様の熱演を思えば納得の受賞だと思います。
もうすぐ千秋楽を迎えますが、最後まで皆さんが安全に健康に舞台に立たれることを願っています。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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