こんにちは、zukacotoです。
先日、星組さんの「ロミオとジュリエット」A日程を観劇させて頂いたので、今日は役替わりを中心に感想をお話していきたいと思います。
それでは早速スタート!
全体の感想
まずは全体の印象を。
この間も申し上げたのですが、どちらかというとAパターンの方が全体的なバランス的には良かったのかなと。
いわゆる”正統派”なロミジュリと言いますか。
モンタギュー三人組VSティボルトの対立構造がしっくり来る感じがしましたね。
愛月のティボルトの迫力、瀬央のベンヴォーリオの親友感、極美のマーキューシオのキラキラ感。全てが理想的なバランスだったなと思います。
そして、これはBパターンもそうでしたが、歌でズッコけるような方がいらっしゃらないというのが今回のロミオとジュリエットの強みかなと。
それどころか、”聴かせられる”レベルの方の多いこと!
まさか歌でこれほど泣かされるとは…。
星組の皆さまの努力と熱い思いが伝わってきました。
ティボルトの哀しき運命
全体の印象をザッとお話したところで、ここからはそれぞれの役について語っていきたいと思います。
まずは、2番手・愛月ひかるが演じたティボルトについて。
彼女は今年で研15となっただけあって、さすがの迫力と存在感だったと思います。
意外にも、と言っては失礼かもしれませんが、特に歌がめちゃくちゃよかった。声量もありビブラートといった技術的なところも織り交ぜつつ、ティボルトの葛藤がストレートに伝わってくる歌だったなと。
ティボルトの場合はソロ曲が三曲ありますが、♪ティボルトと♪本当の俺じゃないをどのように表現するかに演じる方の個性が現れるような気がしていて。
愛月のティボルトの場合は、本当は誰よりも弱くて誰よりも孤独な人間であるという印象を受けました。
そんな彼女の役作りと、周りの人たちの役作りがぴたりとはまっていたということも、今回のロミオとジュリエットの成功の要因の一つではないでしょうか。
まず、キャピュレット卿の態度。
天寿が演じるキャピュレット卿は異常なまでにティボルトに手厳しいのです。
ティボルトが孤独を深めていった理由の一つにはなるのではないかなと感じました。
そして、ティボルトは口答えをするものの、結局は何も出来ず黙るしかない。
キャピュレット卿を言いくるめるだけの口の上手さもなければ、その気概もないし、キャピュレット卿に隠れて手を回しパリスとの結婚を阻止しようという発想もない。
そこが彼の弱さなんだなあと。
対して舞空が演じるジュリエットは行動的で強い女性として描かれています。こうと決めたら親や乳母を欺いてでもまっしぐらに突き進んでいく。
キャピュレットの籠の鳥であるティボルトが彼女に憧れ、惹かれるのも無理はないと思います。
さらに、彼にはモンタギューの三人のように、お互いを思い合えるような仲間や親友がいなかったことがいけなかったんだ、と今回初めて気が付きました。
モンタギューの三人については、次の項目について詳しくお話しようと思いますが…。
物語全体を通して「1対3」の構造がはっきりと見えたのが印象的でした。
もし、ティボルトに自分の弱さを見せることの出来る相手がいたならば、ジュリエットにあそこまで固執するようなこともなかったのではないかと。
しかし、現実には彼はいつも1人。
「今の俺を救えるのは 愛する君だけ」と、ジュリエットに縋ることでしか自分の孤独感を埋めることが出来ず、ヒーローになりたかったはずが大人たちの醜い争いにいつの間にか自ら荷担している。
そんなティボルトの哀しき運命に涙が止まりませんでした。
モンタギューの三人組
さて、ここからはロミオ・ベンヴォーリオ・マーキューシオの三人組についてお話したいと思います。
先程も申し上げましたが、今回のロミオとジュリエットでは「1対3」の構造がクリアに見えたのが印象的でした。
そして、モンタギューの3人が結束すれば結束するほど、ティボルトが1人であることがより強調されるんだな、とも。
今回のAパターンでロミオ・ベンヴォーリオ・マーキューシオを演じたのは礼・瀬央・極美の3人ですが。
…何だろう、この、妙な”しっくり感”は。
礼と瀬央の親友役がハマるのは当たり前として、極美が何故こんなにも馴染んでいるのか…。
だって、同期で普段から仲良しの2人に、学年が5個も下の人がポンッと入れられたら、普通ちょっと浮いちゃったりするもんじゃないですか。
しかし、そうはならなかった。
色々と理由を考えてみたんですが、多分、あの「ほっぺむぎゅ」が案外利いてる気がするんですよね。
世界の王の場面で、極美演じるマーキューシオが礼演じるロミオの頬をむぎゅっと掴む場面があるのですが。
あれがあることで、マーキューシオにとってロミオは可愛い弟みたいな存在なんだろうな、とこちらは脳に刷り込まれるのですよ。
今まで見てきたロミオとジュリエットだと
- 長男:ベンヴォーリオ
- 次男:ロミオ
- 三男:マーキューシオ
という関係性なのかなと私は思っていました。配役によってはベンヴォーリオとロミオの順番が入れ替わることはあるかもしれませんが。
それが、今回のロミオとジュリエットはこういった印象を受けました。
- 長男:ベンヴォーリオ
- 次男:マーキューシオ
- 三男:ロミオ
礼のロミオがすごく幼く作られていたということもありますし、先程の「ほっぺむぎゅ」に始まりマーキューシオがロミオを可愛がっているような素振りを各所で見せていたことが、このような印象に繋がったのかなと。
そして、ベンヴォーリオとマーキューシオにとっては、モンタギューの御曹司たるロミオは親友でもあるけれど、庇護対象でもあったのかなという印象も受けました。
もう一つ面白かったのは、礼と瀬央と極美の3人の場合は「お互いにお互いの強さと弱さを補完し合う関係」のように見えたこと。
例えば、礼のロミオは夢中になると前が見えなくなるようなところを、2人に補ってもらっている。
仮面舞踏会で正体がバレた時なんかは、ロミオが必死にジュリエットを追いかけようとするのをベンヴォーリオが何とか押さえつけて、マーキューシオがナイフで威嚇をしながら逃げ道を作っていましたよね。
同じように、極美のマーキューシオは頭に血が上りやすいところを、きっと今まで2人に守ってきてもらったんだろうし、瀬央のベンヴォーリオはおっちょこちょいなところを2人に補ってもらってきたんだろうなって。
何だかそんなことを感じさせる3人組でした。
このバランスが崩れてしまったことが、あるいは悲劇の始まりだったのかもしれません。
ベンヴォーリオの挫折
次に、瀬央が演じたベンヴォーリオについて。
まずあの短髪が私めちゃくちゃ好みでした…。瀬央史上1番かっこいい気がする。
そして、思ったよりチャラめというか。マーキューシオ共々、しっかり(?)女遊びを嗜んでいそうな感じがして。
歴代ベンヴォーリオがわりと大人っぽい方が多かったから新鮮でしたね。
役作り的な面で1番印象的だったのは、キャピュレットとの争いの場面になると、いつもマーキューシオやロミオに「お前らは下がってろ」「これ以上は止めとけ」とでも言わんばかりに腕で彼らを牽制していたこと。
例えば、ティボルトと争うマーキューシオを制して、代わりに自分がティボルトの足を思いっきり踏んづけていたところがあって。
元々こういう振付なのかもしれないですけど、瀬央のベンヴォーリオの場合は何故だかそうやってマーキューシオやロミオを守ろうとするようなところが印象的に目に焼き付いています。
しかし、ロレンス神父に言われるように彼の本質は「粗忽者」なんですよね。
瀬央はその辺りもきっちり表現していたなと思います。
なーんか、色々とツメが甘いのですよ彼は。笑
本人は一生懸命ですし、そこが彼の魅力でもあって、きっとロミオとマーキューシオもそういうベンヴォーリオが好きなんだと思うんですけど。
でも、結局はそこが仇となって、空回りして、1番守りたかった親友2人を失うことになってしまうんですよね…。
♪どうやって伝えようでは、ロミオを思いやる気持ちと共に、彼の挫折感も感じられて。
いや、瀬央が歌う♪どうやって伝えようなんて、絶対泣くじゃんって思っていたけれど、泣かされるポイントが思っていたのと少し違いましたね。
「ロミオとジュリエット」で描かれる数日間で、人生最大の挫折を味わったであろうベンヴォーリオ。
彼はこれからどうやって生きていくんだろう…。
ラストシーン、大公に肩を抱かれて霊廟を立ち去る彼の姿を見て、ついそんなことを考えてしまいました。
おわりに
長くなってきてしまったので、一旦ここで区切ります。
続きはまた近いうちに出そうと思っているので、乞うご期待!
極美のマーキューシオのこととか、天華の死のこととかを話せたらいいなと思っています。
それではまた。
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